21世紀はアジアの時代です。

アジアは世界経済の発展を牽引する存在であるだけでなく、長きにわたり育まれてきた価値観もまた、これからの世界に大きく貢献できる可能性を持っています。謙虚さ、協働、長期的な視点、そして人や社会、自然とのつながりを大切にする姿勢は、変化が激しく複雑化する時代において、世界が必要としている知恵の一つです。

こうした価値観は、アジアの多様な哲学や倫理的伝統に深く根ざしています。調和を重んじる精神、祖先や年長者への敬意、共同体全体の幸福を優先する考え方、教育を重視する姿勢は、人々の結びつきを強め、社会に責任感と安定をもたらしてきました。また、課題に対してバランスの取れた包括的な解決策を生み出す土壌ともなっています。関係性や相互依存を重視するこうした視点は、世界がより深い共感と協働を育み、共に発展していくための重要な示唆を与えてくれます。

今日、アジアは経済・政治の両面において世界的な存在感を高めています。それに伴い、この地域ならではの価値観、文化、歴史、そしてビジネスの実践を踏まえたリーダーシップ育成の重要性も高まっています。アジアの多様な文化的・思想的遺産に学ぶリーダーシップ・プログラムは、この地域特有の複雑な課題に対応できるリーダーを育成するとともに、世界共通の課題に対して新たな視点と解決策を提示することができます。また、アジアの次世代リーダーが自らの文化的背景に根ざしたリーダーシップを発揮し、多様な地域社会と世界とのつながりを深く理解しながら行動するための基盤となります。

こうした理念のもと、2023年、公益財団法人国際文化会館の支援を受け、アジア各地の志を同じくするリーダーたちとの協働によって、Asia Leaders Fellowship(ALF)が設立されました。

ミッション

世代を超えて受け継がれる価値を生み出すため、アジアの協働的な未来を築くこと。
その実現に向けて、私たちは次の3つに取り組みます。

1. 信頼と真摯さに基づく、強い絆で結ばれたコミュニティを共創する。
2. アジア域内における深い相互学習を実践する。
3. 平和・繁栄・持続可能性の実現に向け、力を合わせて行動する。

根底にある問い

「私たちは、いかによき祖先となることができるのか?」

この問いは、ALFのミッションである「世代を超えて受け継がれる価値を生み出すため、アジアの協働的な未来を築くこと。」と深く結びついています。私たちが未来の世代にどのような影響を残したいのかを考えるための、ALFにおける重要な出発点となる問いです。

新たなフェローがALFに参加する際には、必ずAncestor Sessionを行います。これは、いわば「自分自身について語らない自己紹介」です。一般的な自己紹介のように、仕事や肩書、専門分野、趣味について話すのではなく、自らの祖先や家族の歴史、そして自分に影響を与えてきた人々について語ります。その物語をたどることを通じて、単に「私は誰なのか」を見つめるだけでなく、「なぜ私は今、ここにいるのか」を問い直す機会となるセッションです。

Ancestor Sessionは、僧侶の松本紹圭氏にご紹介いただいたものです。このセッションは、2023年3月にALF創設メンバーが初めて一堂に会した際にも実施されました。それ以来、「私たちは、いかによき祖先となることができるのか?」という問いは、ALF全体を貫く共通の問いとして共有されています。

この問いは、単に過去の祖先を振り返るためのものではありません。むしろ、私たち自身も、いつの日か未来の世代から「祖先」として見られる存在になることを自覚するよう促すものです。今日私たちが下す選択、築く人間関係、そして形づくる未来は、次の世代へと受け継がれる環境や記憶、可能性の一部となります。

この意味において、「私たちは、いかによき祖先となることができるのか?」という問いは、ALFにおいて過去・現在・未来をつなぐ問いです。自らのルーツを振り返ることから始まり、世代を超えた責任を自覚し、アジアの未来に向けた協働を創り出すことを促します。これこそが、ALFの根底にある問いです。

フェロー選考

ALFでは、才能、テクノロジー、資本の3つが、優れた人格と行動への強い志向に支えられることで、社会に前向きな変化をもたらす主要な原動力になると考えています。

そのため、ALFでは、次のような人物を求めています。

1. アジアへの強いコミットメントを持ちながら、世界とのつながりを大切にするグローバル市民
2. 実績ある起業家、あるいは家業やレガシーを受け継ぐ次世代リーダー
3. 次世代により良い世界を残したいという強い志を持ち、それを実践に移す行動力を兼ね備えたリーダー
4. 謙虚に学び、惜しみなく分かち合い、プログラムとともに成長していく知恵を備えた、本質的に利他的な人物
5. コミュニティへの責任と相互の守秘義務を尊重し、信頼され、また他者を信頼できるリーダー
6. 意味あるパートナーシップを真摯に築こうとする意思と、共に行動することへのコミットメントを持つ協働型リーダー

Future Fellow候補者は、現役フェローからの推薦を受け、上記の原則に照らして選考委員会が審査を行います。正式な招待は、エグゼクティブ・コミッティによる最終承認を経て行われます。

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