アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)は、アジア各国の起業家、投資家、大手財閥の経営者、アーティストなど、40代を中心とした現役世代のリーダー24人がアジアの今と未来を語り合うアジア・リーダーズ・フェローシップ(ALF)初めての年次総会を開催しました。

 

※本イニシアティブは、APIFの枠組みの中で行われています。

ALFの概要

 

ALFは、2023年12月14日~16日の3日間にわたって、日本の軽井沢と東京で初めてとなる年次総会を開催しました。ALFは、日本と諸外国の交流目的に設立された非営利の民間団体である国際文化会館(IHJ)によって運営されています。IHJの理事でもある佐藤輝英と小林りんが発起人となり、将来世代に希望の持てるアジアを受け継いでいくためには現役世代のリーダーによる対話の場(プラットフォーム)が必要だという問題意識から立ち上げられました。

社会の一線で活躍するMovers and Shakers(実際に行動し、変化を起こす人たち)を巻き込むコミュニティを作ることで、イノベーションを産み育て、国境を超えたコラボレーションをキュレートするという目標を掲げています。

解決すべき問題

 

21世紀がアジアの世紀となることには疑いがない一方で、アジアの多様性から生じる複雑さや緊張関係、ボラティリティによるリスクも内包しています。さらにイノベーションや変化の起き方も従来とは異なり、現場で起きた改革やダイナミズムに制度が追いついていないという課題もあります。また、アジア発の国際的集まりもまだ少なく、アジアの未来を考えた際、従来とは違う新しいコミュニティ型のアプローチが必要という問題意識が発足の背景にあります。

 

今回ALFでは、実際に行動や変化を起こすことができる現役世代のリーダーが率直に課題を共有・議論し、解決策を提示することができる対話の場を提供するために、7人の創設メンバーを中心に30名の参加者(Fellow)の人選を進めてきました。その際には、現時点で意思決定権を持ち才能と行動力を兼ね備えたリーダーのポジションにあり、かつ”I”ではなく”We”で考えることのできるマインドセットを持った人という2点を厳格な要件として定めました。

 

解決方法

ALFがとる解決方法は、従来の国際会議体とは異なりパネルディスカッションやキーノートスピーカーなどは設けず、あくまで全参加者が対等な参加者かつコントリビューターとして対話を重ねることを特徴とします。実際に現役世代のリーダーとなっている40代を中心とした「Mover」を中心に据え、こうしたリーダーの声を反映することを主眼としています。第一回目となる今回の年次総会には、ユニコーン企業の創業者、著名な投資家、アジア各国を代表する大手財閥の経営者、アーティストなどさまざまな分野でリーダーシップを発揮している方々に声をかけ、趣旨に賛同した30名のフェローのうち、24人がアジアを中心に10カ国から参加しました。(インドネシア、韓国、ミャンマー、シンガポール、香港、インド、フィリピン、マレーシア、アメリカ、日本)

 

第一回年次総会(2023年12月13-16日)の議論

2023年12月に開催された初めての年次総会では、あえて具体的なテーマ設定をせずに、それぞれのリーダーたちが深い信頼関係を築き、それぞれの考えを聞くことを最優先としました。

 

今回のセッションでは、浄土真宗本願寺派・光明寺僧侶である松本紹圭さんにも参加いただき、祖先から遡って今の自分がなぜここにいるのかを説明する「Ancestor Session」から始まりました。ALFを通底するテーマに一つでもある「How can we become good ancestors?」という問いについてそれぞれが考える機会となりました。

 

その後は、「過去」をテーマに家族の中で脈々と受け継がれてきた価値観や、参加者それぞれが大事にしている人生の軸、今の自分を形作った出会いや出来事についての対話を行い、信頼関係を深めることに時間が費やされました。

 

「現在」についてのセッションでは、自分の母国が直面する課題や必要な対策、そして若者が希望を持てる将来についての話し合いも行われました。この中では、ミャンマーにおける軍事政権によるクーデター後の分断、順調に成長しているとみられているインドやインドネシアの政治的課題、少子高齢化への対策に苦心する韓国の課題など、現役のリーダーの視点から本質的で示唆に富んだ議論が行われました。このほか中国の政権長期化や台湾有事への懸念、そして香港の民主化運動についても、それがアジア各国へもたらす影響を含め幅広く意見が出されました。さらに今回開催国となった日本についてもイノベーションの停滞やダイバーシティの推進で後れを取っている現状についての指摘もありました。

 

そして最終日には、「未来」をテーマとして議論が行われ「次世代リーダーの育成」「教育格差の是正」「環境問題」「民主化運動の支援」「ファミリービジネスの理念の継承」などへの関心が示され、今後、ALFとして貢献しうる共通テーマが浮き彫りになりました。

 

今回の年次総会は、上記の議論のほかにも座禅を組んで自分と向き合ったり、参加者の頭にあるそれぞれのストーリーやインスピレーションを引き出したいという思いのもとでthought provokingな質問を投げかけたりするという取り組みも行われました。参加者の中には、涙を流しながらこれまでの道のりや将来世代への思いを口にする人もおり、参加者同士が深くつながるという初回の目標を達成することができました。二日目の夜には和太鼓を鑑賞した後に全員で協奏するという試みも行い、筆舌に尽くし難い一体感のもとに軽井沢を後にしました。

責任者と参加者の声

「アジア全体の未来を考えるとき信頼関係を軸にしたコミュニティを作ることがその第一歩になると考えている。『文化交流は人に始まり、人に終わる』という国際文化会館の創設者の一人でもある松本重治氏の言葉があるが、同じ志を持った参加者が集うALFがアジアの課題解決の一助になると確信できた」-佐藤輝英氏(日本/Co-Chair of ALF)

 


 

「アジアのために何かをしたいという共通の価値観を持った仲間と知り合うことができて大変有意義だった。個人的にはインドネシアの森林伐採をはじめとするアジアの環境問題など国境を越えた課題についての議論を深めていきたという思いがある」-Arif P. Rachmat氏(インドネシア)

 


 

「私はアートの世界出身だが、初めて会ったビジネス出身の人たちとすぐ打ち解けて、大きなテーマについて議論できたことは非常に充実した時間だった。この3日間、自分がよいAncestorになるためにどうすればよいか考えてきたが、子孫がその時に選択する自由を与えることだと言った松本紹圭さんの言葉に共感した。未来の世代の優先順位や考えが分からない中で将来の可能性を閉じることなく自由を与える良いAncestorになりたい」-Elora Hardy氏(インドネシア)

 


 

「アジア各国から違った価値観やバックグラウンドを持った人々がそれぞれのストーリーからインスピレーションを受け、視野を広げることができた素晴らしい体験だった。私がAncestorとして子孫に伝えたいのはAsian Excellenceだ。アジアの多様な価値観、文化、素晴らしさをストーリーにかえて伝えていきたい。ALFはこのことを考えるよいきっかけを与えてくれた」-Grace Chen氏(香港)

 


 

「私にとってとても学びの多い時間だった。様々な人たちのビジネス、人生、家族との向き合い方を知ることができた。インドを含めてアジアは共通の価値観や文化を有しており、参加者たちのネットワークや経験を活かすことでALFがコミュニティとしてさらに発展することを確信している。私にとってGood Ancestorとは次の世代に古き良き伝統と人道主義を引き継いでいくことだ。混迷する今の時代だからこそ我々の責任はさらに大きい」-Sunjay Kapur氏(インド)

 


 

「過去16年、スタートアップの経営をしていたが、CEOを退任し次のIkigaiを探しているさなかにこのALFに参加できたことを嬉しく思う。全く違ったバックグラウンド、経験、人生を歩んできた人がアジアの将来について話し合うことはとても有意義で、素晴らしいserendipityだった。Good Ancestorになることについて考えた私なりの答えは、将来の子孫たちの選択肢を減らさないことだ。どのような未来になるか予想できない中で、なるべく多くの選択肢を将来に残していきたい」-William Tanuwijaya氏(インドネシア)

 


 

「少人数の親密なグループでお互いの知見・アイディアを共有し、さらにはニュースでは知りえない各国の実態を学ぶことができたことはとても貴重であった。このような交流が、アジアにより大きなインパクトを与えるためのco-creationにつながると信じている。」-Win Win Tint氏(ミャンマー)

 


 

今後について

今回の年次総会では、コミュニティの核となるメンバー間の信頼関係の醸成と共通の価値観を確認することができました。今後は、共通の課題として焦点があたったテーマについて、継続的に議論を行っていくことになります。詳細については、以下のお問合せフォームにご連絡ください。

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