牛場記念フェローシップとは

21世紀の今日、世界に今なお残るさまざまな分断状況を乗り越え、重要な問題提起をしている傑出した外国の知識人を日本に招聘するプログラムです。講演、セミナー、対談を行うことによりフェローと内外の有識者との対話の促進を目的としています。

フェロー一覧

文芸評論家

ガヤトリ・C・スピヴァク

1942年インド、カルカッタに生まれる。1959年カルカッタ大学のプレジデンシィ・カレッジ卒業後渡米、1967年文芸批評家のポール・ド・マンの指導の下、アイルランドの詩人W.B.イェーツに関する論文でコーネル大学で博士号(Ph.D.)を取得する。現代世界における権力と知の地政学的布置に批判的まなざしを向け、既存の知の諸前提に疑問を投げかけながら、新たな思考の可能性を切り開く思想家として世界的に名高い。

主要な著作のうち日本語訳のあるものに、『ある学問の死―惑星思考の比較文学へ』 (みすず書房、2004)、『ポストコロニアル理性批判:消え去りゆく現在の歴史のために』(月曜社、2003)、『サバルタンの歴史―インド史の脱構築』(共編著、岩波書店、1998)、『サバルタンは語ることができるか』(みすず書房、1998)、『文化としての他者』(紀伊国屋書店、1990)などがある。『ガヤトリ・チャクラヴォルティ・スピヴァク』(スティーヴン・モートン著、青土社、2005)や雑誌『現代思想 特集:スピヴァク-サバルタンとは何か』(青土社、1999)など、氏についての研究書も多数。

専門・関心:比較文学、脱構築、フェミニズム、ポスト構造主義、グローバリゼーション

カリフォルニア大学デイビス校教授

G・ウィリアム・スキナー

コーネル大学、スタンフォード大学教授などを経て、現職。第二次世界大戦直後からアジア各地域において人類学的調査手法を用いて、タイを中心とする東南アジアの華僑研究や中国の地域・都市研究、市場論を進め、現在、アジアの地域システム・プロジェクトを推進している。戦後アメリカのアジア研究を一貫して先導してきた第一人者。主要な著作のうち日本語訳のあるものに、『中国王朝末期の都市:都市と地方組織の階層構造』(晃洋書房、1989)、『東南アジアの華僑社会』(東洋書店、1981)など。

専門:人類学、地理学、中国市場論、東南アジア(タイ)華僑論。

カリフォルニア大学サンタ・クルーズ校特別功労教授

ジェイムズ・クリフォード

人類学の領域で自明とされてきたさまざまな概念や方法論を疑問視してきた文化批評家であり、「ポスト・モダン」の旗手として世界的に知られています。ハーバード大学にて博士号(Ph.D.)(歴史学)を取得し、1978年よりカリフォルニア大学サンタ・クルーズ校「意識の歴史プログラム(History of Consciousness)」における学際プログラムにて教鞭をとる。ロンドン大学およびイエール大学においても人類学の客員教授を歴任。主著に、『人類学の周縁から』 (人文書院2004)、『文化の窮状:二十世紀の民族誌、文学、芸術』 (人文書院2003)、『ルーツ:20世紀後期の旅と翻訳』 (月曜社2002)、『文化を書く』(ジョージ・マーカス共編、紀伊國屋書店1996)など。数多くの著書が外国語に翻訳され、芸術や文化研究などの幅広い分野で多大な知的影響を及ぼしています。

専門・関心:文化人類学

作家/エッセイスト

アルンダティ・ロイ

建築専攻後、シナリオライターとして活躍。その後、処女作である、半自叙伝的小説『小さきものたちの神』(DHC 1998)で1997年度ブッカー賞を受賞し、世界的に注目をされる。インドの核実験、ダム建設の弊害、新自由主義、米国によるイラク&アフガン戦争、カシミール問題や中央インドを中心に展開されている市民戦争まで、公共的な問題に働きかけるライターとして執筆活動をしてきた。グローバリゼーションと結びついた市場主義や私営化がもたらす経済的不平等(格差拡大・貧困問題)や社会的不公正の問題から、平和構築や宗教原理主義の台頭まで「もうひとつ別の(オルターナティブ)世界」の実現を目指し、批判的な声をあげる知識人としても名高い。正義や自由擁護の視点からのこれまでの平和・人道的活動などへの貢献により、2002年にはラナン文化自由賞、2004年にはシドニー平和賞を受賞されたほか、2010年に米フォーブス誌の「世界で最も人に感動を与える女性30人」にも選ばれる。主な邦訳著作に、『帝国を壊すために』(岩波書店2003)、『誇りと抵抗――権力政治(パワー・ポリティクス)を葬る道のり』(集英社2004)など。

政治哲学者

アントニオ・ネグリ

1933年イタリアの、パドヴァに生まれる。イタリア全土を揺り動かした、女性・学生・貧民・失業者等、社会的弱者による、新しい社会運動「アウトノミア(労働者自治)」を理論的に統括した知識人として知られる。パドヴァ大学政治社会科学研究所、フランスのエコール・ノルマル(高等師範学校)、パリ第7及び8大学、そして国際哲学院や欧州哲学大学などで教鞭をとる。マイケル・ハートとの共著『帝国』において、「グローバリゼーション」と呼ばれる現象の進展に伴い出現した新しい世界秩序・主権の形態を“帝国”と捉え、物理的領土を必須とした従来の国民国家の主権とは異なる、脱中心化されたネットワーク状の支配装置と論じる一方で、“帝国”による新たな秩序と権力に対抗し、“マルチチュード”によるオルターナティヴな実践の可能性(デモクラシーの運動)を構想することで、大きな影響を及ぼした。

日本語訳のある著作多数、最近の翻訳書に『コモンウェルス—<帝国>を超える革命論(上・下)』(日本放送出版協会、2012)がある。

(Photo Copyright: David Balicki;著作権代理:(株)フランス著作権事務所)

イスラーム学思想家/オックスフォード大学教授

ターリク・ラマダーン

オックスフォード大学東洋研究所現代イスラーム学教授。同大学神学部でも教鞭をとる。カタールのハマド・ビン・ハリーファ大学イスラーム学部、ならびにマレーシア・プルリス大学客員教授。同志社大学シニアリサーチ・フェロー。カタールのイスラーム法・倫理研究センター(Research Centre for Islamic Legislation and Ethics)では所長を務める。ジュネーブ大学で哲学およびフランス文学の修士号と、アラブ・イスラーム学の博士号を取得。カイロでは、スンニー派イスラーム教学の最高峰とされるアル=アズハル大学の学者たちから集中的な個別指導を受け、古典イスラーム教学を究める。欧米社会におけるイスラーム教徒や、イスラーム世界におけるイスラーム復興現象などに関する第一人者として、神学、倫理、社会正義、エコロジー、宗教間・文化間対話に至るまで、幅広いテーマで世界をまたにかけて講演を行っている。ブリュッセルにあるシンクタンク「ヨーロピアン・ムスリム・ネットワーク」の代表。国際ムスリムウラマー連盟メンバー。著作に、『Islamic Ethics: A Very Short Introduction』(Oxford University Press、2017年刊行予定)、『The Essential Introduction to Islam: Spirituality, Fundamentals, History』(Pelican Series, Penguin、2017年刊行予定)、『Islam and the Arab Awakening』(OUP USA、2012年)、『The Arab Awakening: Islam and the New Middle East』(Penguin、2012年)、『The Quest for Meaning, Developing a Philosophy of Pluralism』(Penguin、2010年)、『What I Believe』(OUP USA、2009年)、『Radical Reform, Islamic Ethics and Liberation』(OUP USA、2008年)など。また、Edgar Morinとの共著に『Au péril des idées』(フランス語、Presses du Châtelet、2014年)がある。

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