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「疎通」の力―ソウル市の新しい「疎通」市政と都市外交 講師: 朴 元淳

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本イベントは終了しました。

  • 講師: 朴 元淳 (韓国ソウル市長)
  • 日時: 2015年2月3日(火) 3:30~4:00 pm
  • 会場: 早稲田大学小野記念講堂
  • 主催: 早稲田大学韓国学研究所、早稲田大学アジア太平洋研究センター
  • 共催: 国際文化会館
  • 協力: 国際交流基金アジアセンター
  • 用語: 韓国語(日韓同時通訳付き)

市民運動家出身の朴元淳ソウル市長は、2011年に初当選して以来、市民参加型の行政を掲げ、福祉や環境、再生可能エネルギーに力を入れた新しい市政に取り組んでいます。その実績が市民から支持され、2014年6月には再選を果たしました。このたび、舛添要一東京都知事の招待によって公式訪日を果たした朴市長。日本の方々と対話する機会を持ちたいとの思いから、早稲田大学での講演会が企画されました。

韓国ソウル市長

朴 元淳

1956年韓国・慶南昌寧生まれ。人権派弁護士として活躍後、90年代以降、市民の政治参加や企業監視などを行う「参与連帯」やシンクタンク「希望製作所」などを創設。2006年に韓国の民主主義の発展に貢献したとして「マグサイサイ賞」を受賞。11年にソウル市長に当選し、14年6月に再選。日本の市民運動にも早くから関心を抱き、2000年に国際文化会館・国際交流基金が共同主催するALFP(Asia Leadership Fellow Program)フェローとして来日。滞在中の経験を『朴元淳弁護士の日本市民社会紀行』(日本語訳は『韓国市民運動家のまなざし―日本社会の希望を求めて』)として刊行した。

レポート

朴市長はまず、少子高齢化、若者の失業、環境、エネルギー、都市など、韓国と日本社会に共通する課題を例に挙げ、両国が共に解決の道を探ることで地球共同体に貢献すべきだと語った。そして“local to local” “people to people”をキーワードに、国にできないことは日韓の都市同士で解決しようと力説した。実際、2014年7月に舛添要一東京都知事がソウル市を訪問した際には、都市の安全、大気汚染、災害救助などへの対策において両都市が交流・協力することを確認し、合意書を交わしている。

2050年には世界人口の7割が都市に暮らすようになると言われるなか、グローバル課題の多くはもともと都市部から発生したものであることから、「都市にこそ解決の糸口がある」と朴市長は主張する。そしてエネルギー、雇用、防災、環境、犯罪など都市化に伴う問題を都市外交(都市同士の連帯)で解決することは、国同士の連帯にもつながると訴えた。

さらに朴市長は、1,000万人の市民の暮らしに責任を持つという意味において市長一人にできることには限りがあるとし、市民と共に「協治」(ガバナンス)することの重要性を説いた。ソウル市民に対しては日頃から「市民が市長です」と伝えているという。その取り組みの一つが「疎通(ソトン)行政」である。「疎通」とは文字通り「意思疎通」のことだが、単なるコミュニケーションではなく、対話を続けて意思を通わせ、コンセンサスを導くという意味で使われ、近年、韓国政治や社会のキーワードの一つになっている。疎通を図るにはまず市民の声を聴くことが肝要だとし、これまでに120回以上さまざまな現場を訪れたという朴市長。市民と専門家が熟議する「聴策討論会」も頻繁に設けており、こうした場には反対派も呼んでいるという。例えば、エネルギー危機を克服すべく掲げた「原発一基削減事業」では、市民のさまざまなアイデアや取り組みによって、ソウル市のエネルギー消費量を2014年までに200万トン(石油換算)削減させるとの目標を見事に達成させた。こうした市の取り組みは「ソウル効果」として、他の21都市に波及しているという。

最後に朴市長は日韓関係にも触れ、2015年は第二次世界大戦終戦(韓国では光復)70周年、日韓国交正常化50周年を迎える節目の年であるにもかかわらず、両国間の懸け橋は壊れていると述べた。「今こそ昨日を省み、今日を直視し、明日に向かう時である」という朴市長。

「鯛も一人は旨からず」という日本のことわざを引きながら、「一人の百歩よりも百人の一歩が重要であり、共に見る夢は現実になる」と述べ、日本人と韓国人のさらなる協力を呼びかけた。そして、かつて存在した「BESETO」(北京、ソウル、東京の頭文字をとったもので、1995年に各市の市長によって調印された、日中韓の首都交流の枠組み)の復活を提唱し講演を締めくくった。

(写真提供:早稲田大学韓国学研究所)

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