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新渡戸リーダーシップ・プログラム(新渡戸国際塾)
新渡戸リーダーシップ・プログラム第9期(2016年度)

共生―和の世界を求めて

本イベントは終了しました。
講師: 松山 大耕 (臨済宗妙心寺退蔵院副住職)
日時: 2016年10月1日(土) 1:30~3:00 pm
会場: 国際文化会館 講堂
用語: 日本語(通訳なし)
会費: 無料 (要予約)

世界で宗教の名をかたった争いが絶えない今、日本人の寛容性に富んだ宗教観こそが解決の糸口と考え、京都でアジア初の宗教間交流駅伝 (InterFaithマラソン)を主催するなど、宗教の垣根を超えて活動する松山氏。自然のなかに物事の本質を見出す禅僧である氏は、今の世界に何を感じ、どのような解決策を求めているのかお話しいただきます。

臨済宗妙心寺退蔵院副住職

松山 大耕

1978年京都市生まれ。2003年東京大学大学院農学生命科学研究科修了。埼玉県新座市・平林寺にて3年半の修行生活を送った後、2007年より退蔵院副住職。外国人に禅体験を紹介するツアーを企画するなど、新しい試みに取り組む。外国人記者クラブや各国大使館で講演を多数行うなど、日本文化の発信・交流が高く評価され、2009年5月、観光庁Visit Japan大使に任命される。また、2011年より京都市「京都観光おもてなし大使」。2016年『日経ビジネス』誌の「次代を創る100人」に選出される。2011年には、日本の禅宗を代表してヴァチカンで前ローマ教皇に謁見、2014年には日本の若手宗教家を代表してダライ・ラマ14世と会談するなど、世界のさまざまな宗教家・リーダーと交流。2014年世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)に出席するなど、世界各国で宗教の垣根を超えて活動中。著書に『大事なことから忘れなさい~迷える心に効く三十の禅の教え~』(世界文化社、2014年)がある。

新渡戸国際塾とは

国際文化会館は日本ならびに日本人の国際的な存在感が希薄になっている現状に鑑み、次世代を担う人材育成のため「新渡戸国際塾」を開校しました。「国際性」と「リーダーシップ」をテーマに、塾生たちは、講師陣の豊かで先駆的な生き方や専門性から、多様な考え方と視点を学んでいます。第九期は期を通して「2030年の世界―新しい社会への挑戦」について考えます。各分野の第一線で活躍する講師陣による講演を一部公開していますので、是非ご参加ください。

レポート

京都・妙心寺退蔵院には、坐禅や日本文化を体験しようと世界各国から多くの人が訪れる。格式ある寺でそうした企画を次々に立ち上げたのが副住職の松山大耕氏。異宗教間の交流のみならず、ダボス会議に出席するなど宗教の枠を超えて幅広く活動する氏が、日本人の宗教観や、現代の宗教と社会の関わりについて自らの体験をもとに語った。

退蔵院住職の長男として生まれた松山氏。寺を継ぐことが規定路線という環境で育ちながら、中学・高校は意外にも地元のカトリック系の学校に学んだ。若い頃訪れたアイルランドで、そうした生い立ちを現地の人に話すと、「なぜ日本ではそんなことができるのか?」と不思議がられたという。しかし多くの日本人が12月にはクリスマスケーキを食べ、大晦日には寺で除夜の鐘を聞き、年が明ければ神社にお参りに行く。諸外国から見れば不可解かもしれないが、「これは素晴らしいこと」と松山氏は断言する。とくに国際社会が対立や不寛容へと向かうなか、日本は仏教の言葉「不二(ふに)」(物事を二元論で捉えてはならない)にも通じる、そのあいまいな宗教観を自信を持って発信すべきだという。発信の一例として、氏を含むさまざまな宗教・宗派のリーダーがリスナーの悩みに答える異色のラジオ番組「8時だヨ!神さま仏さま」や、異宗教のランナーがたすきをつなぐ「宗教者駅伝」の活動についても紹介した。

本講演の直前にはイタリア・アッシジで開かれた世界中の宗教家が集う会議に出席。だが以前と比べて現地メディアの関心も低く、欧州の宗教離れを肌で感じたそうだ。これを憂慮し、ローマ教皇は「宗教家たちはもっと外へ出なければならない。そして宗教に無関心な人と接するときには、専門的な教義は一切使わず、自分の言葉で自身を語らなくてはならない」と述べたという。これに対して松山氏は「そのためには宗教家自らがもっと宗教の“体験”を積み、行ずる(実践する)ことが求められる」と語った。

松山氏は宗教間対話に限らず、科学者との対話も重視している。きっかけは2011年の原発事故。「宗教家はもっと科学を勉強しておくべきだった。技術が確立して社会に浸透してからでは遅いと痛感した」という。近年はiPS細胞など生殖細胞に関わる技術革新も著しい。氏は「確かに素晴らしい技術」と認めながらも、「できること」と「やっていいこと」は違うと強調し、こうした問題を宗教家として社会と共に考えていくことも、共生の一つだとの考えを語った。

(本講演の内容は、2017年夏に発行予定の新渡戸国際塾講義録に収録予定です。詳細はこちらをご覧ください)

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