
異種間クロストークは、国際文化会館アート・デザイン部門ディレクター長谷川祐子が、分野の異なるアーティストやエキスパートを招いてお話を伺うシリーズです。
シリアの砂漠にそびえ立つ、美しき古都パルミラは、2011年以降の紛争によって甚大な被害を受けました。紛争は建造物を破壊しただけではありません。遺跡から持ち去られた文化財は国際的なブラックマーケットへ流出し、本来の歴史的文脈を失ったまま世界各地へ散逸しています。
今回のトークでは、長年パルミラ遺跡の調査・保存に携わってきた考古学者の西藤清秀氏と、シリアから二度の避難を経て、今年第61回ヴェネチア・ビエンナーレのシリア・パビリオンで「パルミラの塔墓」をテーマに新作を展示中のアーティスト、サラ・シャマ氏、そして安全保障・国際政治を専門とする国際政治学者で国際文化会館代表理事の神保謙氏をお迎えします。
西藤氏は、破壊前の遺跡を精密な3次元データとして記録し、学術的・物理的な「復元」の礎を築いてきました。一方でシャマ氏は、その失われた空間を没入型インスタレーションへと昇華させ、「記憶の再生」を試みています。神保氏には、国際秩序の視点から、破壊された文化遺産をめぐる課題を読み解いていただきます。様々な視点から文化のレジリエンス(復興)について考えます。
イベント概要
| 日時 | 9月14日(月)7:00~8:20 pm (開場: 6:30 pm) |
| 会場 | 国際文化会館 講堂 |
| スピーカー | 西藤 清秀(考古学者) サラ・シャマ(アーティスト)※ZOOM登壇 神保 謙(国際政治学者、国際文化会館代表理事) |
| モデレーター | 長谷川 祐子(国際文化会館アート・デザイン部門ディレクター) |
| 言語 | 日本語、・英語(通訳あり) *通訳レシーバーをご希望の方は手配の都合上、9月7日までにお申し込みください。 |
| 参加費 | 3,000円(会員:2,000円、学生1,000円) *会員配偶者・パートナーの方も会員チケットをお求めください。その他の会員ご同伴者様は一般価格で承ります。 |
| *当日は動画および写真の撮影が入ります。ご了承ください。 |
プロフィール
奈良県立橿原考古学研究所・技術アドバイザー
西藤 清秀
1953年生まれ。アリゾナ大学大学院修士課程・関西大学大学院博士課程前期修了。奈良県立橿原考古学研究所副所長・附博物館館長を経て2013年より現職。1990 年から2011 年まで、シリア・パルミラで発掘調査と修復復元事業を展開。2016 年よりバーレーンでパルミラ隊商の痕跡を求めて古墳の発掘調査を主導。2017年よりUNDP(国連開発計画)より委託を受け、シリア文化財関係者人材育成事業に従事。編著に『世界遺産パルミラ 破壊の現場から–シリア紛争と文化遺産』(雄山閣 2017)、『Tomb F-Southeast Necropolis, Palmyra, Syria』(Research Center for Silk Roadology 2001)ほか。2016年日本イコモス賞、2021年文化庁長官賞受賞。
アーティスト
サラ・シャマ
ダマスカスとロンドンを拠点に活動する国際的な現代画家。アイデンティティ、死、生のはかなさ、ディアスポラ(離散)、そして人間の内面に宿る心理的緊張をテーマに、人間存在を力強く描く具象絵画で高く評価されている。
1998年にダマスカス大学美術学部絵画科を首席で卒業。以来20年以上にわたりヨーロッパや中東を中心に活動し、近年では「Modern Slavery」シリーズが英国各地の主要文化施設で高い評価を受けた。2026年には、第61回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展のシリア館代表作家として参加)。作品はロイヤル・アカデミー・サマー・エキシビション、フィレンツェ・ビエンナーレ、NordArtなどでも発表され、ダマスカス国立博物館やブリティッシュ・カウンシルをはじめとする公的コレクションに収蔵されている。
国連世界食糧計画(WFP)のセレブリティ・パートナーやキングス・カレッジ・ロンドンのアーティスト・イン・レジデンスを務めるなど、人道支援や研究活動とも深く関わりながら制作を続けている。中東を代表する現代画家の一人として、世界各地の美術館、キュレーター、コレクターから高い評価を受けている。
国際政治学者、国際文化会館代表理事
神保 謙
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程修了(政策・メディア博士)。専門は国際政治学、安全保障論、アジア太平洋の安全保障、日本の外交・防衛政策。タマサート大学(タイ)で客員教授、国立政治大学、国立台湾大学(台湾)で客員准教授、南洋工科大学(シンガポール)客員研究員を歴任。政府関係の役職として、防衛省参与、国家安全保障局顧問、外務省政策評価アドバイザリーグループ委員などを歴任。





