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テクノロジーとデータの活用を通じてより安全な国境往来を目指す
国際文化会館は、スイスの非営利組織「コモンズ・プロジェクト」(The Commons Project; TCP)との連携のもと、テクノロジーとデータを活用して安全な国境往来を推進します。
コモンズ・プロジェクトとは
コモンズ・プロジェクト(TCP)は、米ロックフェラー財団の支援を受けて設立された非営利組織です(本部:スイス)。世界経済フォーラムとの連携のもと、人々が自らの健康情報にアクセス・管理することを可能にする「公共財としてのデジタルインフラおよびサービス」を構築・運営することをミッションに、米国をはじめ世界各国で活動しています。
日本では、2020年7月に国際文化会館内に事務局が設置されました。国際文化会館理事長の近藤正晃ジェームスはTCPグローバル副会長と評議員を、また同理事の宮田裕章氏(慶應義塾大学医学部教授)はTCPグローバル評議員と日本代表を務めています。
コロナ禍の課題とデータ・テクノロジー
新型コロナウイルスの感染拡大による渡航制限は、グローバルに活動する個人・団体・企業に甚大な影響をもたらしています。2020年7月に世界経済フォーラム第四次産業革命日本センターが経済産業界を対象に実施したアンケートでは、グローバル企業の実に7割が、海外出張や海外出張者の受け⼊れが厳しくなったことにより、事業に何らかの悪影響があったと答えています。また5割が、海外出張や海外からの出張者受け⼊れが難しくなったことによる経済的損失が発生していると答えています。
日本の経済界のみならず、多くの国やセクターが同様の問題に直面するなか、安全な往来のためのグローバルな枠組みについて人々が国境や分野を越えて議論することが急務となっています。

この取り組みに日本が参加する意義
日本は、開かれた国際貿易・国際交流の受益者であり、推進者でもあります。デジタル証明を通じて安全な国境往来を世界的に実現する上で、日本はリーダーシップを発揮することが期待されています。
また、人々のプライバシーに配慮する国として、特定企業による情報独占や国家による監視社会とは異なる、「国際的な公共財としてのデータ活用」のモデルが示せる国でもあります。
さらに、この構想をめぐるグローバルな議論では、人々がスマートフォンを持っていることを前提に話が進められがちですが、日本には他国に比べてスマートフォンの保有率が低いという特徴があります。“スマホ”を持たない層を含め、より多くの人々をこの構想にどう包摂していくのか、日本の視点は極めて重要です。
TCPが推進するテクノロジーと枠組み
健康情報のための国際的オープン標準の提供(SMART Health Cards)
SMART Health Cardsは、TCPも参画する「ワクチン証明イニシアチブ」(Vaccination Credential Initiative)が中心となって推進する、ワクチン接種履歴や検査結果などの健康情報をデジタル記録するための国際規格です。情報は暗号化によって安全に守られ、個人は医療記録を自ら管理し、自らの意思でその内容を提示、共有することができます。検証する側も、医療情報が改ざんされていないことを容易に確認することができるため、証明書の偽造防止につながります。
※SMART Health Cardsのロゴ使用に関しては、こちらのウェブサイトから直接管理者にお問い合わせください。
信頼できる機関のレジストリの構築(CommonTrust Network)
CommonTrust Networkは、TCPが運営する、信頼できるデジタル証明発行元のグローバルネットワークで、北米の主要州を含む政府機関、及び数百に及ぶ医療機関や大手ファーマシーが登録されています。ネットワークのメンバーは、検査結果やワクチン接種の記録を、検証可能なデジタル証明書として、SMART Health Cardsのようなオープンで相互運用可能な規格を用いて提供します。
人々が健康情報を取得・管理する技術の開発・提供(CommonHealth)
CommonHealthは人々が自分のデジタル健康記録を収集し、信頼する医療機関や健康アプリとその情報を共有するためのアプリです。複数の医療機関からデータをインポートすることで、本人はもちろん、医師も患者の健康状態を網羅的に把握することができます。
デジタル証明検証技術の開発・提供(CommonCheck, CommonPass)
CommonCheckは渡航者のデジタル証明書を出発前にオンラインで検証する、主に政府や航空会社向けのサービスです。政府自身が入国要件を管理、アップデートするため、国々が感染状況に応じて柔軟に政策を実施し、個人の健康状態をよりスケーラブルかつ信頼性の高い形で判定することが可能になります。渡航者複数の国際標準やトラベルパス、各国政府発行ワクチン証明書が存在する中、様々なデジタル証明書を検証することができ、紙の証明書にも対応が可能です。
またTCPでは、渡航者の健康状態が受入国の入国基準を満たしていることを検証し、検査結果をデジタル証明するトラベルパス「CommonPass」を開発し、様々なエアラインと共同で実証実験を実施しました。

TCPの特徴
中立性
企業や特定の政府ではなく、国際的な非営利団体であるTCPが、公共性を第一に運営します。
柔軟性
感染の広がりや検査結果の精度向上、ワクチン開発などの状況に応じて変化する各国の入国条件に柔軟に対応することができます。
プライバシー
本人の明示的な同意を得た上でのみデータの利用や共有がなされ、また個人を識別できる健康情報は検査実施機関またはユーザーの端末にのみ保存されます。
国際性
枠組みの構想設計には50を超える国々から、民間企業、市民社会、医療関係者、政府関係者などさまざまなステークホルダーが参画しています。
コモンズ・プロジェクト日本委員会 (※2020年9月時点)
安全な国境往来に向け、日本国内におけるTCPの活動や国際的な連携を推進します。
代表:
・宮田 裕章 (慶応義塾大学医学部 教授)
委員(ボードメンバー):
・大曲 貴夫 (国立国際医療研究センター 国際感染症センター長)
・近藤 正晃ジェームス (公益財団法人国際文化会館 理事長)
・塩崎 彰久 (弁護士)
・関 治之 (一般社団法人コード・フォー・ジャパン 代表)
・細田 直樹 (日本放送協会 制作局〈第2制作ユニット〉社会・文化 チーフ・プロデューサー)
・森 亮二 (弁護士法人英知法律事務所 パートナー弁護士)
・和田 照子 (一般社団法人日本経済団体連合会 国際経済本部長)
アドバイザー:
・新浪 剛史 (サントリーホールディングス株式会社 代表取締役社長)
・船橋 洋一 (一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブ 理事長)
・村井 純 (慶應義塾大学 教授)
コモンズ・プロジェクト グローバル評議員 兼 日本代表
宮田 裕章
慶應義塾⼤学医学部教授。公益財団法人国際文化会館理事。2003年東京⼤学⼤学院医学系研究科健康科学・看護学専攻修⼠課程修了。同分野保健学博⼠(論⽂)。
データサイエンスなどの科学を駆使して社会変⾰に挑戦し、現実をより良くするための貢献を軸に研究活動を⾏う。専⾨医制度と連携し5,000病院が参加するNational Clinical Database、LINEと厚労省の新型コロナ全国調査など、医学領域以外も含むさまざまな実践に取り組むと同時に、経団連や世界経済フォーラムと連携して新しい社会ビジョンを描く。その一つは、いのちを響き合わせて多様な社会を創り、その世界を共に体験する中で⼀⼈ひとりが輝くという“共鳴する社会”である。
厚⽣労働省保健医療2035策定懇談会構成員、厚⽣労働省データヘルス改⾰推進本部アドバイザリーボードメンバー。
2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)のテーマ事業プロデューサーに就任。
協力団体(パートナー)
コロナ禍における安全な国境往来を目指すコモンズ・プロジェクト日本委員会の趣旨に賛同し、その活動に協力する団体一覧です。(五十音順)
・(一財)アジア・パシフィック・イニシアティブ
・(公社)経済同友会
・在日米国商工会議所
・(一社)新経済連盟
・全日本空輸株式会社
・定期航空協会
・(公財)東京財団政策研究所
・(一社)日本IT団体連盟
・(一社)日本医療情報学会
・(公社)日本観光振興協会
・(一社)日本経済団体連合会
・日本航空株式会社
・日本商工会議所
・(一社)日本旅行業協会
・(一社)日本臨床検査医学会
メディア掲載
2021.04.14
2021.04.02
2021.03.29
2021.03.15
2021.01.15
2020.12.18
2020.11.30
2020.11.15
2020.10.09
2020.09.07
2020.09.04
2020.08.24
2020.07.31
2020.07.09
海外
TCP本部のウェブページをご覧ください。
【お断り】WHOでは、「検査には誤差があり、陰性は証明できない」との科学的な見地から、陰性証明と検査結果証明を区別し、前者の用語は使わないように国際的に要請しております。よって、コモンパスでは「世界共通の検査結果証明書」と表現しております。
関連資料(世界経済フォーラム第四次産業革命日本センター 提供)
トピックス
日本政府のデジタル接種証明書として「SMART Health Cards」の採択が決定(2021年12月)
TCPが推進する医療データ記録のための国際基準「SMART Health Cards」が、日本政府によって2021年12月20日より発行開始されるデジタル接種証明書の規格(国内用・海外用)として採用されました。→プレスリリース(日本語)
プレスリリース(英語)
AppleがiOS15のヘルスケアappをSMART Health Cards対応としたことを発表(2021年9月)
iPhone向けOSである「iOS 15」では、ユーザーが新型コロナウイルスのワクチン接種履歴や検査結果の記録をヘルスケアAppにダウンロードし、保存することができます。これはTCPが「ワクチン証明イニシアチブ」(Vaccination Credential Initiative)と推進するSMART Health Cardsの仕様に基づいており、ユーザーは自身の医療データをスマートフォンで管理し、その内容へのアクセスをコントロールすることができます。→詳細
コモンズ・プロジェクトと日本の航空会社が、日本の国際旅行再開に向けてデジタル健康証明「コモンパス」を試験的に導入(2021年3-4月)
日本の航空会社2社と共同で、コモンズ・プロジェクトが開発したコモンパスを用いたデジタルヘルス・パスの実証実験を実施しました。→プレスリリース(日本語)
プレスリリース(英語)
コモンパスとPHRアプリ「ウィズウェルネス」、国内初のデータ連携を実装(2021年3月)
TCPと学校法人東邦大学および H.U.グループホールディングス株式会社の連結子会社である株式会社医針盤は、東邦大学羽田空港第3ターミナルクリニックにおいて、コモンパスと、スマートフォン向けPHR(Personal Health Record)アプリ「ウィズウェルネス」とのデータ連携を実装しました。→プレスリリース
「ワクチン証明イニシアチブ」が始動(2021年1月)
TCPでは、マイクロソフト、オラクル、セールスフォースなどのIT企業や、アメリカ屈指の総合病院メイヨークリニックなどの医療団体と連携し、「ワクチン証明イニシアチブ」(Vaccination Credential Initiative)を始動しました。アフターコロナ時代の安全な国境往来に向け、ワクチン接種履歴に関するデジタル証明書の開発を進めます。
国際空港評議会との連携(2020年11月)
世界のおもな国際空港の管理者の団体である国際空港評議会(Airports Council International, ACI)がコモンパスと連携することが発表されました。→プレスリリース(英語)
海外における実証実験の実施(2020年10月)
ロンドン、ニューヨーク、香港などのハブ空港を結ぶ航路で、コモンパスの実証実験が行われました。→プレスリリース(英語) / TCP本部ウェブページ
日本委員会の発足(2020年9月)
コモンズ・プロジェクト日本委員会が発足しました。メンバーには、テクノロジー、医療、経済、法律、メディア、オリパラなど各分野を代表する方々が就任し、宮田裕章代表のもとで、専門的見地からの助言・提言、日本国内におけるTCPの活動推進、国際的な連携の支援などを担います。
メディアワークショップ(2020年7月31日)
世界経済フォーラム第四次産業革命日本センター主催によるメディア対象のワークショップがオンラインで開催され、コモンパスをテーマに議論が交わされました。安全な国境往来に向けた課題、TCPの概要、この取り組みに日本が関わる意義などについて、国際文化会館理事長でTCPグローバル評議員の近藤と、同理事でTCPグローバル評議員兼日本代表の宮田氏が発表したあと、メディアや民間企業からのパネリストも交えたディスカッションが行われ、プライバシーの問題などについて議論しました。
Regional convenings(2020年7月23日)
アジア太平洋地域のステークホルダー80名が参加し、オンラインで開催されました。日本、韓国、バングラデシュ、シンガポール、ニュージーランドのスピーカーからは各国の国境往来をめぐる現状や経済活動への影響が共有され、参加者からは「各国がそれぞれ独自のシステムを持つなかでどのようにコモンパスを導入し運用していくのか」といった質問が投げかけられました。
Global launch convening(2020年7月9日)
50カ国を超える国々からIT業界、航空業界、医療・公衆衛生専門家、財団関係者、政府関係者など約350名が参加し、コモンパスのキックオフイベントがオンライン開催されました。会合では15名のスピーカーからこの枠組みの必要性や解決すべき課題、期待などが語られました。また、後半は参加者によるブレイクアウト・セッションも行われました。
日本事務局 開設(2020年7月)
TCP日本事務局が国際文化会館内に設置され、宮田裕章氏(同会館理事、慶應義塾大学医学部教授)が代表に就任しました。














