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増え続ける高齢者人口を受け入れるため、現在日本では年金の需給年齢引き上げに伴い高齢者の雇用保障を強化しており、2025年までには65歳定年制が義務付けられる[1]。そのような社会的保障の一方で、身体機能の低下も考慮した、元気に暮らしていくための住宅環境の整備も必要となる。日本では1995年に定められたバリアフリー住宅についての指針[2]や、2006年に閣議決定されている住生活基本計画に見られるように、高齢者が住宅に住み続けるために必要な環境整備が進められている。
そのようなハードでの環境整備の中で、最近では在宅医療の充実を目的としてテクノロジーが導入されつつある。ロボットや、クラウド、センサー技術といった最先端の技術を応用したサービスが提案されてきており[3]、今後市場は拡大すると見込まれる。
一方で団地や集合住宅では昭和後期の集合住宅建設ラッシュ時に入居した世代が一斉に高齢を迎えている。この局地的な高齢化への対応として、地域住民による見守りサービスや交流イベントなど、高齢者をサポートするさまざまな取り組みが行われている[4]。そのように高齢者が快適に暮らせるようなサポートが重要である一方で、高齢者の人生経験を積極的に提供してもらう例も存在する。横浜市にあるシェアネスト東横という6人のシェアハウスでは「おばあちゃんコンシェルジュ」が週に3日訪れ、洗濯・掃除・料理などの家事を行ってくれるサービスを提供している。おばあちゃんコンシェルジュとして働く井野氏は、自分の家庭では家事をするのが当たり前だと感じており、特にありがたがられることもなかったと言う。しかし、週に3回でも、温かい手料理と洗濯されてきれいにたたまれた洋服が用意されていることに単身者たちがとても感謝してくれるので、やりがいと喜びを感じている。この事例は多世代の共生の仕方として、非常に示唆に富むものであろう。経験豊富な高齢者たちの知恵と能力を引き出すことで、彼ら自身の人生が豊かにもなるし若い世代も助かるという構図は、まさに高齢化に順応するということなのではないだろうか。
少子高齢化に伴って進むのが、地方の過疎化である。国策としても地方創成が議論されているが、徳島県の上勝町と神山町は異なるアプローチで地方再生を果たした。上勝町は高齢者が働けるための株式会社いろどりによる「葉っぱビジネス」を考案した一方で、神山町は古民家の改修やワーク・イン・レジデンス制度を通して若い働き手を呼びこんでいる。
<Interviewees>
フローリアン・コールバッハ: 西交リバプール大学助教授 元ドイツ-日本研究所経営・経済研究部長
酒井洋輔: 松栄建設株式会社専務取締役 シェアネスト東横を運営
井野純子: 「おばあちゃんコンシェルジュ」でシェアネスト東横にて掃除、炊事、洗濯のサービスを提供
金山峰之: 株式会社ケアワーク弥生スタッフ、介護福祉士・社会福祉士
坂村健: 東京大学大学院情報学環・学際情報学府教授、ユビキタス情報社会基盤研究センター長
<注>
1.「高齢者等の雇用安定等に関する法律」
2.「長寿社会対応住宅設計指針」
3.例)So-net社の開発した「bmic ZR」
→地域包括ケアにおける医療従事者や介護従事者をはじめとした多職種の連携を支援し、在宅ケアにおける業務の効率化と更なる質の向上を目的としたもの。
4.例)千葉県柏市豊四季台地域における長寿社会のまちづくり
→住民の4割以上を65歳以上の高齢者が占める豊四季台団地において、柏市・東大・URが連携して社会実験的に高齢者の社会に適応した団地のありかたを研究している。





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