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人口減少に伴い新設住宅数は2009年から100万戸を下回るようになったが、住宅ストック総数は増加を続けている。それに加えて私有権の強さから空家の除却は進まず、野村総研の調査によれば2033年には空家数2000万戸超、空家率3割とも予測されている[1]。一方で住宅ストックの質に目を向けると、1980年以前に建てられた住宅は省エネ性と耐震性の面で大きく劣る。加えて当時のスタンダードだった間取りは、現在の生活スタイルとは相容れないものとなってしまっている[2]。
高度成長時代にUR都市機構が開発した団地でも、例に違わず空家が見られるようになってきた。そこでURは良品計画子会社のMUJI HOUSEと連携することで、時代遅れの内装・間取りをモダンなスタイルにリノベーションしている。ゆとりある隣棟間隔や豊富な緑など、UR団地が本来もつ魅力を引き出すようにMUJI HOUSEによってリノベーションされたMUJI×URは、その洗練されたデザインから30代を中心に人気を集めている。立地上、都心部のように周辺環境の華やかさはないが、賃料も近所のスーパーで売っている食品も都心に比べてお手ごろである。おしゃれなバーはないが、風が通り抜ける見晴らしのいい部屋に友人を招いてパーティをするようになったと、MUJI×URの高島平物件に実際に住んでいる方のコメントをいただいた。
また、新築一辺倒だった日本人にリノベーションやDIYというニッチな需要を発見・喚起し、新たな不動産価値を見つけ出し物件を紹介する、不動産マッチングサイト「東京R不動産」も人気を博している。今では日本各地で合計9つのR不動産が運営されているが、共同運営会社であるSPEAC inc.はサイト運営だけにとどまらず、企画・コンサルティングや設計・デザインも行う。彼らはリノベーションで「新築そっくりさん」をつくるのではなく、ユーザーがコミットする余地を残した再生の仕方をとる。そしてユーザー自身が実際に手を動かせるような後方支援として、DIYキットや素材、職人サービスを紹介する「toolbox」というサービスも展開している。現状で8割以上新築に傾倒している日本で、どこまでリノベーションが肉薄できるかはわからないが、少なくとも日本でもリノベーションが認知され、数字としても増えてきているのは事実である。
これらのようにリノベーションで既存ストックを活用していく動きと並行して、そうではない解決の道も見られる。今年全面施行された特措法[3]では、私権を制限し行政に空家撤去の代執行を認める法律である。これにより今後空家の除却が進んでいくのか、その効果に期待したい。その一方で特区法を利用したビジネスもある。株式会社百戦錬磨が大手不動産会社エイブルと組んで関東・関西圏で住人のいない住宅を宿として貸し出す「TOMARERU」という宿泊マッチングサービスは、まだサービスは開始されていないものの、観光客の宿不足の解消にも同時に貢献するものとして興味深い。
<Interviewees>
林厚見: SPEAC inc. 共同代表 人気不動産マッチングサイト〈東京R不動産〉の運営など手がける
川内浩司: MUJI HOUSE取締役 住空間事業部開発部長
安達純: UR都市機構 東日本賃貸住宅本部住宅経営部 高島平団地を案内していただいた
<注>
1. 野村総合研究所 NEWS RELEASE(2015.6.22)「住宅の除却・減築が進まない場合、2033年には空き家が2000万戸へと倍増」
2. 国土交通省「持続可能社会における既存共同住宅ストックに向けた勉強会」
3. 「空家等対策の推進に関する特別措置法」2015.2.26施行(関連規定は2015.5.26施行)





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